営業統括部 ダイレクト営業室
室長
川口 忠士 様
2019年までの3年間で消費者向け無担保ローン残高500億円の達成を目指す滋賀銀行では、個人向けダイレクトチャネル戦略として営業店とコールセンターが連携し無担保ローンを強力に推進しています。この戦略の中で、CICの信用情報をスコア化して潜在顧客の掘り起こしを支援するエクスペリアンの「CIC汎用スコアリングモデル」(以下、CIC スコアリング)を採用しました。滋賀銀行では独自の与信審査プロセスを再構築するとともに、短期間でローン残高を増大するなど飛躍的な業績の向上を実現しています。
従来の保証会社による与信判断だけでは顧客の全体像が見えにくく、潜在的な優良顧客を見逃してしまうことから、銀行自身で独自の情報を組み合わせて信用 情報を精査できる仕組み作りが急務。
CIC スコアリングは、CIC 情報をスコアカード化することで、専門的な統計知識を持たない担当者でも、客観的な数値による簡単かつ高精度な与信判断を可能にする。
詳細な与信判断によって、これまでは取引不可謝絶となっていた層から優良な新規顧客を発掘
できるようになり、ローンの実行額の大幅な押し上げや個人の与信状況に応じた商品の提案など、より幅広い顧客層の獲得につながった。
近畿圏の第一地方銀行で消費者向け無担保ローン残高トップ(2016年3月末現在)の実績を誇り、顧客視点に基づくさまざまなサービス提供に取り組む株式会社滋賀銀行。2016年4月にスタートした同行の第6次中期経営計画では、3年間で無担保ローンを215億円積み上げる残高500億円の達成を掲げています。「その具体的戦略の1つである無担保ローンの推進においては、すでに2015年3月までの4年間で残高倍増の実績を挙げています。ここで大きな課題となったのが、いかに正確な与信審査を実施し、従来の審査モデルでは見つけられなかった新たなお客様を掘り起こしていくかでした」と語るのは、営業統括部 ダイレクト営業室室長を務める川口忠士氏です。
地域に根差したサービスが基本となる地方銀行では、給与振り込みや住宅ローンの取引、あるいは口座振替の契約などがある地域在住の顧客が、与信審査においても低リスクと判定される傾向があります。しかし、滋賀県では近年、他府県からの人口流入が急増し、新規口座の開設も増えています。それだけに同行では、こうした顧客がクレジットカードの入会申請や無担保ローンの申込をしても、リスクが高いと判定されてしまうことに大きな課題を感じていました。
川口氏は「ほとんどの銀行は与信審査を保証会社に委託し、その結果だけを見て判断してきました。しかし、これでは潜在している新たなお客様を見逃してしまい、機会損失につながることから、私たち銀行の側がお客様の信用情報を独自に精査し、自ら判断を下せる仕組みを確立することが急務でした」と振り返ります。
こうした課題の解決策を模索する中で、2013年10月にエクスペリアンジャパンから提案があったのが、CICスコアリングでした。無担保ローン自動審査システム更改時期が迫っていたこともあり、与信審査の仕組みも同時に刷新したいと考えていた滋賀銀行では、いくつかの選択肢を検討した結果、最終的にエクスペリアンジャパンの提案を採用することに決定しました。
「情報の取得範囲が広く内容も詳細なCIC情報をスコア化して銀行が直接見ることができるCICスコアリングによって、従来は“取引実績が少ない”という理由だけで取引不可となっていた顧客層でも、行内にある独自の情報を分析してリスクが少ないと判断できれば、新規のお客様としてお取引を開始することができるようになります」(川口氏)
「CICスコアリングを採用したもう1つの理由として見逃せないのが、導入の容易さとコストパフォーマンスです。複数のシステムから構成される銀行の審査システムは、新たなツールの導入において各システムとの連携のための改修が発生し、開発工数もコストもふくらみがちです。あらかじめパッケージ化されたモジュールを審査システム内に配置するだけで導入できるCICスコアリングは、開発コストを最小限に抑えながら、要件通りの機能を実現することができます。
滋賀銀行に導入されたCICスコアリングは、2015年1月から“新無担保ローン自動審査システム”として稼働を開始。保証会社が取得した情報を客観的な数字=スコアに置き換えることで、銀行自身による精度の高い与信審査が可能になりました。同時に審査のプロセスも刷新され、滋賀銀行グループの保証会社が取得したCIC情報をスコア化した数値をもとに、行内で審査を実施し、その後保証会社に送るプロセスに変更されました。
「最大の成果は、これまで与信不可とされていた層から新たなお客様を積極的に発見していく、いわば“攻めの信用情報活用”が可能になった点です。スコアを精査することで、お客様に関するさまざまな推測や判断が可能になり、保証会社の審査段階で不可となっても、あらかじめ行内で把握しているスコアを手がかりに別の商品をご案内するなど、お客様に対してよりきめ細かな提案ができるようになりました」(川口氏)
この成果はすでに数字にも表れており、例えばこれまでは月2,000~3,000万円程度の実行実績しかなかったグループ関連会社保証の目的型ローンは、CICスコアリングと効果的なアウトバンドコールとの連動により、導入後は月平均で1億円規模にまで積み上がっています。導入後の半年間だけで見ても、前年比4.5倍の増加です。これはスコア化したCIC情報をもとに銀行側でレート設定や融資の可否を交渉できるようになったことで、従来ならば謝絶取引不可だった融資案件をグループの関連会社で扱えるようになった効果だと同行では分析しています。「この他、取引量が少ないお客様に対しても有利なレート設定が提供できるようになり、CICスコアリングによる一連の改善が実行額の押し上げに大きく寄与したことを、グループ関連会社も非常に喜んでくれています」(川口氏)
また、CICスコアリングを採用した背景には、エクスペリアンジャパンのサポート体制もあったといいます。ダイレクト営業室調査役の利光智也氏は「何か質問や意見などがあっても、スピーディに回答してくれるので助かっています。導入後のモニタリングなども的確に対応してもらっていますので、私たちも精度の高いスコアをもとにした与信の審査業に専念することができます」と評価しています。
川口氏は「今後はマーケティング面でもより積極的なICT活用を進めていきたいと考えています。その点でも信用情報の豊富な分析ノウハウを持つエクスペリアンには、新たな提案を期待しています」と話します。この言葉通り、まさにエクスペリアンのソリューションは滋賀銀行のダイレクトチャネル戦略を支える基盤として、ますます大きな役割を果たしていくことになりそうです。
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