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面倒な海外取引債権の回収

昨年9月のブログでご紹介の通り、アジア圏での倒産(廃業・整理を含む)は絶対数として日本よりも多く、またその傾向は増加基調をたどっています。各社審査部門が全力を注いで日々与信管理を行っていることは疑いの余地がありませんが、それでも支払ってこない会社(長期未収)が出たり、相手先の倒産により不良債権を抱えたりすることを、100%回避することは難しいのではないでしょうか。

海外取引債権の難しさ

海外企業に対する不良、または長期化債権の回収は、現地に訪問することが費用的に、また時間的に難しいこともあって、なかなか手間が掛かるものです。特に営業マンにとっては、販売ノルマがある中での後ろ向きな作業で、精神的にも負担が大きいものでしょう。JETROでは、回収の段取りについて体系的に説明していますが(※1)、期末が近づいてくる状況下、「早く回収しろ」という経理部門からのプレッシャーや、「この償却根拠はなんですか」のような監査部門からのプレッシャーなど、回収も進まないし、償却も難しいという八方塞がりの状況に陥りがちです。

海外取引債権の回収

債権の回収は、もちろん自社で行うことが大前提です。しかし、時間的制限や複雑な手続き、またそもそも後ろ向きな業務であることなどから、債権回収を外部に委託することも現実的な選択です。しかし、そのコストは「どこに頼むか」、「いつ頼むか」で大きな差が生じます。

債権回収に動くタイミング

長期債権は、主に相手先企業の法的倒産による所謂不良債権と、相手先企業の私的整理や単純に支払う意思がない回収の長期化に分けられます。法的倒産に関しては、その前段階で相手先の信用調査を十分に行うことは必須ですが、倒産が発生した際にその情報をいかに早く察知するかが鍵となります。全世界にいえることとは限りませんが、弊社に寄せられた前例として、米国・シンガポールの弁護士は、債権者からのクレーム(申請)を避ける為に倒産の事実を積極的に通知しないという例もあるようです。
多くの場合、日本の債権者が相手先企業の倒産状態に気づくタイミングは、倒産(破産・再建)のスキームが確定した後で、こうなると法的論拠を活用しながら回収に当たらざるを得ず、弁護士のサポートがなければ回収はほぼ不可能です。
他方で、相手先が私的整理の状態にある、ただ支払ってこないだけという場合には、交渉の力量次第であり、まだまだ回収の余地があるといえます。

債権回収委託の方法

海外取引債権の回収代行については、多くの弁護士事務所が相談窓口を設けています。しかし、委託に際しての費用は多くの担当者にとって高額との印象が否めないでしょう。
一方で、日本国内では法律による縛りがあり不可能ですが、海外では信用調査会社が副業として債権回収を行っている場合が大方です。これら信用調査会社は、調査で集積したデータを基に、債務者の経営者の自宅が特定できたり、また同人物が新たに会社を起こした際のマッチングが可能であったりと、債権者がキャッチしていないような情報に基づき、回収業務に当たることが可能です。また支払いを行わない場合には、債務不履行の企業であることを調査報告書に含める事ができるため、債務者にとって支払いを行う動機につなげることができます。

債権回収の費用

こうした信用調査会社を活用した債権回収は、法的な強制力はもちません。かたや、法曹による実務ではないので、多額の弁護士費用を負担する必要がありません。また、この業界では”No collection, No fee“が基本であり、回収に成功しない限り費用は発生しないのが通例です。また成功した場合の報酬は、回収実績額の20%~30%の間が相場となります。ただし、それでも支払いが拒否される場合もありえます。その際は、別途数万円の費用が生じる場合がほとんどですが、償却用(債務者の現況、債権回収の試みの履歴および回収の見通しなどをまとめた)レポートを依頼することが可能です。

債権回収に必要なもの

先述のとおり、信用調査会社を活用した債権回収は、あくまで任意の支払いを促すプロセスです。中には、債務そのものを認めない企業、個人もみられ、債権者としてそれを証明する十分な材料が整っていることが望ましいといえます。具体的には、契約書、注文書、注文請書、請求書といった関連書類のコピーがあれば、回収率が高まります。

おわりに

期末に向けて多忙感の高まる2月、3月。与信管理も一年の集大成の時期を迎えます。また営業マンとしては、期中のうみは期中に解決したいところでしょう。海外では、多くの信用調査会社が「完全成功報酬」として、債権回収の代行に当たっています。これら外部のサービスを活用し、前向きな仕事に取り組みながら、次の年度を迎えるのはいかがでしょうか。

参考
※1 輸出代金の回収滞りの打開策
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04J-090101.html