株式会社ワールドのデジタルマーケティング戦略を支えるツールの1つとして、同社は2014年にエクスペリアンジャパンのマーケティングオートメーション「Cross-Channel Marketing Platform(CCMP)」を採用。顧客とのエンゲージメントを高める多様なチャネル戦略の第一歩として、まず売上げ貢献度の高いメールマーケティングの施策に活用しています。

その目的や効果、今後の展望などについて、デジタルプラットフォーム戦略部 WEBプロモーションチームリーダーの森 幹之氏、同部 西川 恵氏、そして朝稲 努氏にお話をうかがいました。

1:ワールドの事業概要についてお聞かせください

2:アパレル市場を取り巻く昨今の環境変化を教えてください

アパレル業界は今まさに大きく変化しています。ファストファッションの隆盛や若者を中心とした価値観の変化により、一人当りの被服費が大幅に減少し、全体的な市場としてやや縮小傾向にあること。その一方で、お客様の趣味趣向が細分化し、頻繁なブランドシフトが発生していることもあげられます。新規顧客獲得が困難になる中で、いかにしてお客様へブランドの魅力を訴求し、エンゲージメントを高めながら継続してご利用していただけるかが、私たちにとって最優先で対応すべき変化と課題です。

また、リテールはもちろんメーカーもデジタルシフトが加速しており、デジタルテクノロジーを活用した顧客の囲い込みはますます激化しています。複数のブランドをマルチチャネルで展開しているワールドでも、この変化に対応し、全てのタッチポイントにおけるコミュニケーションの最適化を進めなくてはなりません。そうして始まったECの積極的な運用に対しては、かつて店舗側の売上げが落ちることを理由に不安視しているスタッフの姿も見られましたが、EC店長を任命するなどの意識改革につながる施策を取りました。今ではスタッフによるコーディネートやおすすめ情報等を共有し、「商品の価値を高める」「お客様との関係性をつくる」という観点から、ECと店舗が互いに協力してシナジー効果を得ようとする関係へと変化できているように感じます。

3:その変化の中で顕在化してきた課題を教えてください

課題①~ブランドとチャネルの垣根を越えた顧客管理を行う~

「ワールド プレミアムクラブ」へご登録いただいたお客様は、各ブランドのメールマガジンに登録することでブランド毎の個別情報を受け取ることができます。多くのブランドを展開するワールドならではのサービスとして高いポテンシャルを持つチャネルですが、膨大な顧客リストの管理・連携は一筋縄ではいきませんでした。ECや店舗、ブランドによって会員登録の経路が異なるためにデータが複雑なものになってしまい、情報を一元化することが困難だったのです。そのため、情報を重複して配信してしまうことが一つの課題となっていました。

課題②~社内工数を削減し、お客様毎のタイミングにリアルタイムで対応できる環境を整える~

巨大な会員規模を誇る「ワールド プレミアムクラブ」では、メールを一度配信するだけでも膨大な時間と工数が必要でした。例えばリストを抽出するだけでも長い時間を要するため、月に2回ほどしか作業が行えず、また配信設定をするだけであっても、各部署を横断した設定のために必要以上の工数がかかっていました。そのため、例えば前回購買者を対象にしたメールを送る場合であっても、何カ月も前にご購入いただいたお客様に対して「先日はご購入ありがとうございます」などの文面を送ってしまうなど、コンテンツ配信タイミングの遅れが発生していることが問題でした。

4:課題を解決するCCMPを用いた施策のポイントを教えてください

施策①購買行動をフックにした「関係育成メール」と送信タイミングの最適化

会員向けのウェルカムプログラムとして、「プレミアムクラブ」に新規加入いただいた方に対して、関係育成を目的としたステップメールの自動配信を実施しています。加入いただいた際はすぐ①サンクスメールを送信し、1週間後に②おすすめ商品をお知らせする初回のメール、購買後に間を空けて③さらに売れ筋商品をお知らせする2回目のメールを送り、しばらく来訪および購買のないお客様には④店舗や商品のご案内で休眠フォローを行うメールを送信しています。特に2回目のお知らせメールのタイミングについては、初回購買からの設定期間を検討するために、仮設を立ててABテストを実施し、その結果に基づいてPDCAサイクルを回すなどの検証を実施している状況です。お客様によって個別の購買サイクルがあることも想定されるため、今後はそうした分析も強化していく予定です。

施策②店舗との連携による「シーズナルメール」のタイムラグ解消

シーズンイベントや新着情報などの情報を盛り込んだシーズナルメールも配信を自動化しています。シーズナルメールとは、会員登録をされているお客様に向けてシーズン毎にご購入のきっかけとなるような情報をお届けするメールのことで、大きく分けて年に2回、AW/SS(秋冬/春夏)の時節に合わせた配信を行っています。これまでの手動配信では、対象となるお客様情報の抽出や配信設定作業に時間がかかってしまうため、メールでのご案内が店舗展開から約1週間遅れるなどの大幅なタイムラグが発生する場合がありました。しかし現在は、CCMPの導入によって作業の効率化を進めた結果、店舗での商品展開とほぼ同時のタイミングで配信が行えるようになっています。タイムリーな情報発信がお客様の店舗への誘導につながり、AW/SSの販売機会をより効果的に活用できるようになりました。

施策③トランザクションを起点とした「背中を押すメール」の配信

購買直後の「サンキューメール」のほか、お気に入りに入れたまま商品が放置されている場合には「在庫僅少のお知らせ」や「セール価格のお知らせ」を送るなど、トランザクションをトリガーとしたメール配信を行っています。他にも「送料無料」や「割引クーポン」など、再誘導を目的としたメールも配信していますが、効果的なカンフル剤になることがあっても、頻度が多すぎるとそれが当たり前になり、逆効果になる可能性もあります。同一の販促費を掛けるにしても、お客様に一番喜んでいただけるものは何か、再誘導には何が一番効果的なのか、試行錯誤を重ねながら最適化を図っています。

まだCCMPを導入して間もないこともあり、これら3つの施策も含め、トライアルアンドエラーを繰り返しています。とはいえ、このテストサイクルが格段に速くなったのもCCMPの大きなメリットの1つと言えます。リストの抽出も早く、配信も結果分析も速いので、施策を実施する前にはかなりの頻度でテストを行うようになりました。

5:エクスペリアンのCCMPを選んだ理由を教えてください

選定理由③高い実績があり、デジタルマーケティングのノウハウが潤沢

ツールベンダーと他社パートナー企業との連携による提案が多い中、一社でツール提供から要件定義、設計・実装、運用支援までも一貫して提供いただけることに安心感がありました。また導入事例も多く、生きたアドバイスをいただけるのではないかという期待もありました。実際、テスト時から様々なヒントやアドバイスをいただくことができて助かっています。

選定理由④開始時の手厚いサポートとリーズナブルな費用体系

手厚いサポートをアピールポイントにしている会社も少なくありませんが、多くはそのコストが月額のランニングコストに含まれていました。一方エクスペリアンジャパン社は導入前後のサポートは手厚いものの、その後は必要に応じて依頼する形式のため、操作に慣れた後は社内でコントロールすることを想定していた私たちには、費用的な納得感がありました。

6:今後の展望を教えてください

本格的な稼働開始から間もないため、まずはトライアルアンドエラーを繰り返しながら、メールの最適化を実現することが近々の目標です。将来的にはそこで得たナレッジや情報を、店舗やアプリ、ECサイト、コールセンターなどのクロスチャネルで活用していきたいと考えています。
同時に、ECと店舗の連携をさらに深めていく必要があると言えます。店舗に来られたお客様をオンラインに流す方向に偏りがちだったこれまでの発想を広げ、オンラインで得られるエンゲージメントを活かして情報提供を最適化し、実店舗での購買へとつなげるような、双方向の連携で生まれるシナジー効果を最大化していきたいと考えています。そうした取り組みを経て、このような展開が本来のコンセプトであるCCMPでの効率化を図りながら、いずれは総合的なCRMへと発展させていく計画です。

ワールドとしての目標は、お客様と長期にわたる関係構築を意識しながらコミュニケーションを図っていくことにあります。多彩なブランドを展開するワールドは、お客様のライフステージの変化に合わせてお選びいただける選択肢を多く持っているとも言えるのです。一人ひとりに最適なコンテンツを提供し続けることで、お客様との関係をいっそう息の長いものにできれば、既存のお客様とも新しいコミュニケーションが生まれるはずです。個々のブランドではないワールドという会社を長く愛用していただけるように、今後も活動していきたいと思っています。

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